院長インタビュー

院長 嘉数 太郎

地域の人たちがケガをしても安心していられる存在でいたい。 「僕がいるから大丈夫」みたいな。

世の中に多くある仕事の中で、この仕事を選んだ理由を教えてください。


祖父も父も医者だったこともあって、物心ついたころから、自分は医者になるって何の疑いもなく思っていました。医者という職業がどんなものか、子供心にも想像がついたのでしょうね。母曰く一時期幼い頃「コックさんになりたい」とか、「宇宙飛行士になってNASAで働きたい」って言っていたこともあるとか。でもその時父に「NASAで働けるなら、医者にもなれる」と言われたんです(笑)


なるほど。面白いですね。この仕事の魅力は何でしょうか?


やっぱり患者さんに「よくなった」と喜ばれること。「骨折した骨が治って、よくなりました」、「スポーツもできるようになりました」とか「働けるようになりました」って言われると本当にうれしい。壊れたところが元に戻っていって、社会生活に復帰できるようになり喜ばれるのは「やっていて、よかったな」と思います。

なぜ「整形外科医」を選んだのでしょうか。


父が整形外科医だったと言うのが一番大きいですが、学生時代スキー部に所属していて整形外科を選択する先輩が多く「かっこいい」と思ったからですかね(笑)。スポーツで怪我をした人を治したりとか。あとは幼い頃から手先が器用だったので、向いているんじゃないかとも思っていました。整形外科医じゃなければ、救命救急医になってドクターヘリに乗りたいですね。かっこいいです。


「かっこいい」という言葉の裏側に、「正義感」みたいなものを感じます。「緊急」とか「救急」とか「非常事態」とか…。いかなる逆境にも負けず「俺がなんとかしなければ!」と、血が騒ぐというか。


確かに。そうかもしれません。警察24時とか救命救急24時というテレビ番組は大好きです。(笑)。

そんな太郎先生でも、人の身体や命を預かる仕事ですから、苦労も多かったと思うのですが、何を一番大切に考えてますか?


なんだろう。一番大切で難しいのは「人と話すこと」かな。どんな仕事でもそうかもしれないけど。


何か苦労することがあるとすれば「病気」や「ケガ」よりも、「人」とのやり取りが一番難しいということですか?


難しいですね。「病気を治す」だけならシンプルです。こんなことを言ったら医者として失格ですが、患者さんやご家族と一切話さず、手術だけやっていればいいのなら、ある意味楽です。でも医療は患者さんとその家族とのコミュニケーションがとれて初めて先に進めると思います。独り暮らし?家族、親戚は?家族の介護中?とか患者さんには色々な背景があります。それを理解してやっと病状の説明ができ、あるときは説得したり、今なにをすべきか、できるのかの話ができます。これが一番大変で大事だと思ってます。エネルギーが要ります。患者さんとご家族とのコミュニケーションが診療の半分以上と言ってもいいくらいです。
人を治すと言うことは医療的技術だけでなく、大前提として、「人としてその人と話ができるかどうか」だと思います。

なるほど。では太郎先生は三代目ですが、先代がよく言っていたことで、心に刻まれている言葉ってありますか?


あります。三代で受け継いだこと。「患者さんは診るのではなくて、診させていただく」。という気持ち。


すごく謙虚な言葉ですね。


そうですね。謙虚な言葉ですし、本当にすばらしいと思います。僕も「診させていただく」という気持ちで臨んではおりますが、これが、なかなか難しいです。いつも後でこうすれば良かった、こう言ってあげればよかった、傲慢ではなかったかと、いつも反省仕切りです。疲れて心にゆとりが無くなってくると、この言葉を思い出すようにしています。
これは祖父の言葉で父から教えてもらいました。祖父は沖縄の嘉数本家の末っ子で旅をしてきた人なんです。九州にきて、京都に行って、そして、仙台きて、東北帝国大学医学部に入学し医師になって仙台でお嫁さんをもらって、戦争が始まる前後に台湾で開業し、実家の借金を返すために働いて…。戦況が悪化し仙台に戻って開業(当院の前身)。苦労人だったと思います。生活できるのは自分を頼って来てくれる患者さんのおかげだと。「診させていただく」ということなんでしょうね。

太郎先生は、今たくさんのスタッフに囲まれ、日々一丸となって頑張っているわけですが、仲間たちの間で大切にしていることは何ですか?先生が従業員と接する時に心掛けていることとか。


感情的に「怒らないこと」でしょうか(笑)。今は「いさめる」を心がけています。
継いだばかりの35歳くらいの頃は若く傲慢でした。当時、先代からの事務長、師長は僕よりずっと年上で、よく我慢して支えてくれたと思います。今になって強くそう思います。感謝しています。今の職員は皆、僕よりずっと若い方々がほとんどで、僕はあんまり口を出さない、職員の「お父さん役」です。


では太郎先生が考える「お父さん」の役割とは何でしょうか?


うーん、「基本何も言わないで何かまずいことがあれば注意する」くらいでしょうか。方向性だけ示す。あとは右腕的存在の看護師長、事務長、リハ長、彼らに任せます。


病院は一つの「家族」だと。


その通り!家族。ファミリーだと思っています。

さて次の質問です。状況が変化しても、絶対に替えたくないポリシーは何ですか?


「臨機応変、どうにかなるさぁ。」です。できるだけ患者さんが受け入れられる治療法を模索し選択する。


「人に寄り添う」というか、つまり「自分の価値観や方針を押し付けない。」ということでしょうか…。


そうです。ポリシーが無いのがポリシー?「これとこれとこれがあるけど、どれがいい?」って言うと、「私は素人ですから、先生が決めてください」って言われるから、「じゃあこれをやってみるか。だめならこっちで」という感じ。「これでいく」とか「こうしなくてはダメ」とか、そういうのは無い。患者さんには、できるだけ多くの選択肢を提示したいと思ってます。  


選択の幅を持たせてあげる、ということは患者さんにとっても大変助かりますね。
この仕事を次の世代、後継ぎでもいいですし、業界の先輩としてこれから続いていく若者たちに対してでもいいのですが、どのようなことを伝えたいですか。


今の医療の形は古い部分がまだまだ多い。今の形は時代に合わなくなり、近い将来無くなると思います。例えば開業医が病態で診断を付けているのなんてAIができるんです。

むしろその方が判断材料、情報が多くて適正、ということですか?


そうです。血液検査をして、体温を測って、顔色を見てというのが全部コンピューターのセンサーでできるようになるので、「診断」は医者よりAIの方が実は正確。もちろん、その診断が本当に適合しているかどうか、最後の判断は人間がやるべきだろうとは思います。だとすると、医者としてAIには置き換えられない仕事は何かというと、人とのコミュニケーションがしか残らないんです。そういう意味でコミュニケーション能力が絶対必要になるので、ぜひ養ってほしいと思います。
手術でさえ、近い将来機械がやることになると思うんです。もちろん要所要所で人間が携わりますが、「骨折」などはコンピューターとCTで、機械でガガガとやって、ビス打ちなんかも正確かつ精密にできるようになると思うんですよね。だから医者という職業につくなら、患者様が何を望み、何に困っているのか、それに対して「答え」ではなくて、どう導くか、コミュニケーション能力を持つことが一番大事だと思うんですよね。

ということは、結局は「人間力」みたいな話に行き着きますね。


それは大切だと思いますね。やっぱり機械は機械ですから。患者様からすれば機械に診断してもらって「はい、そうですか」と薬を飲んでもいいんですけど、「他に聞きたいこともあるし、不安なんです」っていった時に、寄り添うのは人間しかいません。
ところで話は変わりますが、今一番高度な職業って何だと思いますか?コミュニケーションが一番高度な職業。


何でしょう。


「お笑い」です。


(笑笑)なるほど。


お笑い芸人のコミュニケーション能力と頭の回転はすごいと思います。そして人間の最高に高度な機能が「笑う」ということ。他の動物は笑わないです。喜ぶことはあっても。その人間だけの「笑う」という高度な脳の機能を誘発できるのがお笑い芸人さんたちなんです。コミュニケーションをとって笑わせてくれる。これはロボットではできません。

確かに。それは私も思いますね。尚且つ「お笑い」が日本の今を救っていると思います。笑うと気分も上がるし。気分が上がると免疫力も上がる。


そうです。上がるんです。「笑い」を引き出す専門職があってもいいと思うぐらいです。それが今の「お笑い芸人」なのかもしれませんが…


さて次は子供の頃を振り返っていただきます。先生はどんな子供でしたか?


自己分析すると、やっぱり長男だなと思います。素直な子供だったと思います。大人たちの行動をよく見ていたし、親の言うことをよく聞いていました。頑固な面もあったかな。「筋を通さないとダメ」と思ってきましたね。曲がったことは嫌いな性格。あとは小学生の頃、周りからは「みんなを笑わせることが得意だね」って言われてました。


やっぱり楽しいことが好きなんですね。


場が暗くなるのが耐えられなかったです。明るいのが好き。みんなが明るくしていればそれが一番いい。


いじめとかも許せないんじゃないですか?


そうですね。ほっとけません。中学校の頃にいじめられている子を救ったことがあります。とにかく暗いのが嫌い。不穏な空気とか。みんなで楽しくやりたいんです。

自分の「存在意義」って考えたことはありますか?


存在意義って言われると難しいけど…。
基本的に周りが幸せなら自分もハッピー。それでいい。そのためなら頑張れます。この地域の人たちに健康になって欲しい。この地域の人たちがケガをしても安心していられる存在でいたいです。「僕がいるから大丈夫」みたいな。この地域の人たちをみんな診たいと思っています。


近い将来にやりたいことは何ですか?


もっと「リハビリ」に力を入れたいですね。必要で求めている患者さん皆にリハビリを提供したい。保険制度の縛りもあって、「もうリハビリは終わりだよ」って言われて、困っている患者さんっていっぱいいるんです。そういう患者さんを何らかの形で受け入れたいと考えています。


なぜそう思ったんでしょうか?


特にご高齢者は積極的なリハビリの介入で生活能力が上がるからです。それをかかず整形外科でやってあげたいということです。ご高齢者を含めて全世代、元気な地域にしたいんです。


素晴らしいですね。では長期的な計画も聞かせてください。


他でやっていないことをやること。例えばワンストップ的な感じで「ここに来れば全てが大丈夫」というような病院に本当はしたいですね。そういうのをいつも夢として持ってはいるんだけど、なかなか一人では厳しい。協力者が必要です。


「かかず整形外科」に通っている患者さんがここに来る理由は何だと思いますか?


三代続いた70年の歴史かな。あとは、大崎八幡宮の真ん前でご利益がある(笑)。


え、そこですか?!もちろんそういったことは付加価値になってはいるでしょうね。
でもやはり、最終的には「太郎先生のコミュニケーション力」だと思いますよ(笑)。
今日は長時間ありがとうございました!

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