変形性股関節症(1)

65歳の母のことについて相談します。
母は、変形性股関節炎と診断されました。手術を受けずに様子を見ることにしました。日常生活で気をつけることがありましたら、教えてください。これ以上症状が進まないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか?現在の症状は、動いていないときには全く痛みがありません。歩くと、股関節のところはいたくないのですが、太股のところが張ってきていたいのだそうです。右の方が、張りが激しくあまり歩幅がとれません。長い時間たっているのがつらいそうです。また、左足は、あぐらをかくように開けますが右足は、開けません。お座りは大丈夫です。足の爪を切ることはできません。手術をすると開きが悪くなるかもしれないと言われ、人工の骨なので、又再手術をしなくてはならないかもしれないとのことなので、悩んでいます。軟骨が減ったとの説明でしたが、なるべく手術をいないで現在より良くなる方法は、ないでしょうか?じっとしていると痛みは、ないと言ってもただ部屋にいるだけの生活では、楽しみもなくなんとかしてあげたいと思っています。何軒か医者を変えたのですが、どの先生も言うことは一緒で、詳しい説明はいっさいありませんでした。様子を見ましょうとのことです。でも素人ですので、どのようなことに気をつけたらいいのかわかりません。医学書を探しても見つかりません。どうかよろしくお願いします。
変形性股関節症について
お答えします。 変形性股関節症について
1)日常生活で気をつけること。原則は股関節に負担をかけないことです。つまり
a.ふとらないこと
b.長い距離を歩いたり、走ったりしないこと
c.運動は水泳や自転車が良い
d.重いものを持って歩かないこと
e.日常生活上の工夫をする 作業台(台所など)の高さの調整 杖の使用 椅子や風呂、トイレなどの工夫などを実行して欲しいと思います。
2)治療法 主として整形外科専門の医療機関で行っています。
a.温熱療法 血流改善、関節拘縮改善、疼痛改善などの効果あり
b.体操療法 関節可動域改善、筋力増強、下肢牽引
c.薬物療法 ・消炎鎮痛剤、湿布剤 ・関節内注射・・・ヒアルロン酸ナトリウム ( ただしこれは保険適用外)関節軟骨表面を被覆し、保護、軟骨変性の抑制,病的関節液の潤滑機能の改善により疼痛寛解が期待されます。

などを組み合わせ、主治医の先生の指示に従い行うことが肝要です。

変形性股関節症は、「股関節の軟骨が擦り減る病気」です。しかし、軟骨は重みをかけずに運動していると修復していくことが分かっており、保存的治療であれ、手術的治療であれ、これが全ての治療の基本になります。安静にしていると痛くないのですが、痛みの出現に変化があり、非常に痛い時と比較的楽な時があり、痛みが辛い時は手術でもなんでもやって欲しいと思うのですが、一旦楽になると、これなら手術はしたくないと思うようになるのが人情です。どうしたら良いのか迷ってしまうのが当たり前です。しかし、多くの場合は少しづつ症状が進んでいきます。そして、どうしても保存的には無理な場合に手術になります。手術療法には、・人工股関節全置換術 ・回転骨切り術 ・その他 などがありますが今回は手術を受けないということが前提ですのでこれについて詳細は述べませんが、人工関節全置換術は60歳以上が適応の基本ですが、最近では素材、技術手技、考え方の進歩により50歳代でも行われております。余り高齢になりますとリスクが大きくなります。軟骨がある程度残っている場合は回転骨切り術が良い適応になることがあります。この見極めには精密検査が必要になります。

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