正しい薬の飲み方・使い方--整形外科から

かかず整形外科 嘉数 研二


ふつう、整形外科の病医院でもらう薬は、頚や肩の凝り、腰痛や坐骨神経痛、そして打撲や捻挫などの時に出る消炎鎮痛剤がもっとも多いと思います。ついで、外傷や化膿したとき、手術後などにに出される抗生物質があります。さらには慢性関節リウマチや痛風、筋肉の病気や悪性の病気の時に出される特殊な薬もあります。消炎鎮痛剤には経口剤(口から飲む薬)、坐剤(肛門に入れる薬)、そして、湿布・軟膏などの経皮剤があり、その患者さんの病状や体質などを考慮して、必要な薬が、必要な期間、必要な量だけ出されます。さて、薬を出してもらうときの注意として、

(1)-身体に合わなかった薬の名前はメモしておく-
以前に使用して副作用があった薬の名前は必ず書き留めて記憶しておくことが大切です。そして次に薬を出してもらう時には必ず医師にそのことを告げましょう。意外に自分の体質に合わない薬の名前を覚えている患者さんは少ないようですので気をつけましょう。「抗生物質にアレルギ-があります。」と言うだけでは不十分です。抗生物質でもいろいろ種類があって、その人の体質に合うものと合わないものとがあります。どうしても抗生物質を使わないと病状が悪化し手遅れになることだってあるのです。そういう時に使える薬と使えない薬の確認が必要になってくるのです。

気をつけなければならない副作用として、吐き気やめまい、動悸、 胃痛、便秘、じんましん、むくみ、などが一般的ですが、ショックなどの重篤なものもあります。

(2)-胃腸の弱い人は調整を-
胃腸が弱い人はそのことを医師に申し出て薬の種類や量、飲み方の調整をしてもらうことになります。時には坐剤に変えてもらうか、中止することもあります。どうしても必要な薬の場合は、胃薬を出してもらったり、牛乳で飲んだりするのも一つの方法でしょう。坐剤は胃にたいする副作用が少なく、効果も比較的早く現れ、持続時間も長いのですが、使用直後、便意や下痢があらわれたり、使用するのに抵抗を示す人もいます。
副作用と言えるかどうかわかりませんが、中には眠気を誘うものもあり、運転をする人は特に気をつけねばならないでしょう。

(3)-他の薬と重複せぬよう-
肝臓や腎臓の悪い人や、他の病気で薬を飲んでいる人も必ずその旨を申し出てください。薬の量や種類の調整が必要になることが少なくありません。他の病医院でもらっている薬とその作用が重複して効果が強く出てしまう場合や一緒に飲んではいけない薬もあるからです。

(4)-生兵法は・・・-
出された薬は必ず医師に言われたとうりに、量と回数を間違わずに飲むようにしましょう。最近は「本で読んだら・・」、「新聞でみたら・・」「人に聞いたら・・・」と言って自分勝手に飲む回数を変えたり、飲まなかったりする人がいますが、似た症状あるいは同じ病気でもその患者さんの病気の程度やその他の要因によって薬の飲み方が違ってくることがあります。例えば痛風のような病気では症状が無いからと言って自分勝手に薬を止めてしまって、しばらくしてさらにひどい症状を再発し、ついには腎臓や心臓に障害をきたし、命を縮める結果になることだって有るのです。

(5)-定期的なチェックを-
長期に渡って薬を飲んでいる場合、診察も受けず漫然とに窓口で薬だけをもらうというようなことは止め、必ず定期的に医師の診察を受けましょう。 ときどき血液検査が必要で、それによって薬の飲み方が変わることがあります。

(6)-経皮剤の使い方-
湿布剤や塗布剤は傷の有るところへは直接使用しないでください。傷が化膿したり、治りにくくなったりします。また、皮膚炎を起こす人が結構少なくありません。皮膚炎を起こしたら直ちに使用を中止しましょう。

湿布剤は入浴1-2時間ぐらい前には、はがしましょう。はがした直後に風呂に入ると皮膚炎をおこしたり、ヒリヒリした痛みが強く出ることがあります。
やや皮膚が弱い人はガーゼを1枚下に敷いて使うと、かぶれないい場合もあります。

(7)-保管に注意を-
薬の保管も大切です。温度や湿度の高いところ、日光に当たるところには置かないようにしましょう。幾つもの種類がある場合は薬の名前や効用を薬袋にメモし、処方してもらった病院ごとあるいは病気ごとに区別して保管しておきましょう。

(8)-古い薬は飲まない-
1年以上も前の薬をタンスの奥から取り出して飲む人がいるようですが、これも控えたほうが良いでしょう。保管の仕方にもよるでしょうが、効果が無くなっていたり、成分が変化していたりすることがあります。古くなった薬は捨てて、あらためて医師の診察を受け新しい薬を処方してもらってください。

(9)-お年寄りへの注意-
薬の効き方はその人の体質、体調、体重や年齢などによってかなり差があるわけですが、とくにお年寄りの場合は胃腸の機能が不安定なため同じ薬でも早く効きすぎたり、何時間も経ってから効いてきたりすることがあります。なかなか眠れないからと睡眠薬を就寝時に飲ませたら、夜中は「眼がパッチリ」、昼に「グ-グ-」というようなことがよくあります。

お年寄りには皮膚が弱い人が多く、湿布剤などですぐ湿疹が出たり、坐薬も肛門からすぐ出てきてしまう。

(10)そして
新聞やテレビなどで、「薬づけ」という言葉がよく使われ、患者さんの中にももそういった影響を受け「私は薬は飲まないことにしてます」などと言う人が時々居りますが、賢いことではありません。前に述べたように、アレルギーがあってその薬にあわないなどの理由で飲まないのならいいのですが、必要な薬まで飲まないということでは損をするのは自分です。

年々、医学は進歩しすばらしい治療法や薬が開発されてきています。地域医療にたずさわる医師や看護婦、薬剤師、その他のパラメディカルの人々は、日夜、研究し勉強し、患者さんの健康の手助けをするために努力しているのです。

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