麻痺のリハビリテーション

(機能訓練--維持コ-ス(元気会)--での講話)

これからの健康管理のポイント
--残存機能維持、体調の整え方--

特に今回は、不幸にして脳血管障害(脳出血等)による片麻痺などの障害を持った中高年者の全体的な健康管理について話をしたいと思います。 こうした障害を持つことにより大きくわけて次の3つの問題が発生します。

1)身体的問題
これには運動障害、感覚障害、言語障害、失認、等の直接原疾患によるものと、これに付随して後発する合併症(肺炎-長期臥床、嚥下障害により発生、尿路感染、じょく創、体力低下、精神機能低下、異所性骨化、種々の疼痛、循環障害)があり、更に高血圧等の誘引疾患や基礎疾患、避けることのできない老化による機能低下があります。

2)精神的問題
あせり、いらただしさ、あきらめ、欝症状、孤立と孤独、意欲の低下、

3)社会的問題
退職、社会的孤立、経済力の低下が挙げられます。

1)の身体的問題はとくにその障害の評価を経時的にきちんとやることが大切で、到達目標の設定(ゴ-ル設定)を設けた合理的な治療プログラムの作成と正しい訓練実施が重要です。患者さんはその自分の到達目標を自覚しておく必要があります。ある時期になりますと身体的障害(運動障害、感覚障害、等)の回復は限界に来ます。しかし時として、不可逆的な 1)の障害に未練を残し、意義の無い訓練に多くの労力をかけ、可逆的な 2)3)の努力を怠ってしまうことがあります。皆さんの希望と願いに水をさすようなことかもしれませんが、そこのところをはっきり自覚し、はじめはその障害の除去を考えますが、それが出来なければその障害の改善を、そしてそれが限度に達したならばその能力の範囲内で上手く工夫するということを考えなければならないのです。そのために正しい評価と目標設定を行い、合理的な治療プログラムを作成した上で機能訓練を行って「自分のQOL到達」のために頑張っていくのです。

理学療法、運動療法、作業療法、言語療法、装具や道具の作成、家屋改善等がありますが、それぞれの詳しい説明はいたしませんがこれらをおおいに利用活用いたしましょう。再発予防と2次的予防としても、内科的チェック(心臓、血圧、D。M、その他)や整形外科的チェック(関節障害、脊柱、骨粗しょう症、骨折等)も必要となってきます。こうした治療の専門家として医師や看護婦。保健婦の他、理学療法士、作業療法士、言語療法士、義肢制作者等がおります。これらの専門家をも大いに利用いたしましょう。

2)精神的問題と3)の社会的問題は可逆的であり、改善可能な問題であり、そしてたいへん重要な問題であるに関わらず、あまりこれに時間をさかない傾向にあると思います。そういう意味で本機能訓練事業は 特に2)に関しては大きな役割とを果たし成果を挙げているものと思います。看護婦さん、保健婦さんの他にソ-シャルワ-カ-、職場復帰カウンセラ-、社会福祉士、臨床心理士等の力が必要になります。社会保障や福祉をもおおいに利用いたしましょう。こうしたことを考えるとき、どうでしょう、あなたの現在の考え方、機能訓練のやり方は正しいですか?QOLのためのリハビリテ-ションをやってますか?指一本動かすことに執着し過ぎてはいませんか?例えば膝が曲がっていて変形してびっこをひいて歩いていたとしましょう。これを格好が悪いからと言ってその曲がった膝をまっすぐ矯正した結果、かえってぐらつきがひどく歩けなくなってしまうことがあるのです。また社会復帰の努力をあきらめてはいませんか?

福祉事務所、職業訓練所、職業斡旋所、等をおおいに利用いたしましょう。

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